5月例会はコロナ禍のため、中止になりました。

けれども、右のような素敵なフィールドワークを予定していました。またいつかやれたらいいですね。


6月例会

緊急事態宣言の延長で完全オンライン実施となった6月例会は、全国大会報告レポートのプレ発表第1弾として、参加者8名で開催されました。

報告:オンラインでコロナ世界史

~希望を語る歴史教育を~

報告者:森口等(立命館宇治高校)

<概 要>

はじめに

コロナ禍において、「 社会科こそが非常時で真価が問われる教科 」との私なりの使命感に基づき 、オンライン授業中に 「 世界史での感染症」を取り上げ 、その後も単元ごとに応じて「世界史での感染症」を取り上げた。そもそも教育の目的が「平和で民主的な国家及び社会の形成者 」を育成することであり、その意味で社会科の果たすべき役割は大きい。ここでは、世界史での感染症に取り組む中で、私が学んだことを整理し、その教訓と課題を考えたい。

「コロナ世界史」で私が重視したこと

2021年のコロナ禍のオンライン授業で 、「コロナ世界史」の授業( 30 分授業× 3 回)に取り組む中で私は 、様々なことを学び 、 結果的に「教育の原点」を踏まえるきっかけを得たと考えている。その「コロナ世界史」で私が重視したのは以下の 3 点である。

 ①「世界史での感染症」を通し「希望を語る」こと~生徒の目線から、生徒に向き合い寄り添うこと

②「社会を見つめる眼」を養い、「生き方の指

 針」を深めること~ピンチをチャンスに!

1)「正常性バイアス」について~「正常性

  バイアス」は肯定面もあるだろう

2)「ゆでガエル」論 ~「自らの周囲の状況

  の変化に適切に対応できずに、手遅れの

  状態になること」

3)「鳥の眼、虫の眼、魚の眼」 など で社会(歴史)を把握すること ~多面的な視点を

4)「4つのイドラ」(≒思い込みや偏見)~「ゆでガエル」論とも関連

)帰納法と演繹法 ~ものの見方や考え方と関連して

)メディアリテラシー ~健全な批判精神を持って諸事象を考えるために 

)「生き方の指針」を深めるために~「 押しつけの道徳 」ではなく、「提案」として

③「おもしろい」内容であること=「 大阪人 」としてあえて「おもしろい= funny 」ことに挑戦!~「暗すぎる世相」だからこそ、あえて「大阪人」として 「おもしろく」!

4月は「年間の導入」の時期だからこそ「おもしろい」ことへのこだわりを 

「コロナ世界史」の構成(2021年度のオンライン授業=30分授業)

1時間目プリントNo2

 ➯「世界史」全体の導入として~「無知の知」「正常性バイアス」「ゆでガエル」「鳥の眼、虫

  の眼、魚の眼」「歴史を学ぶ意味」

2時間目プリントNo3~「世界史の感染症」を4つの事例から学ぶ

 

【導入】

→「豆まき(=節分)」「大仏」「祇園祭」の共通点は?

【展開その1】ペスト

→どこで、何が起き、どうなった?2500万~3000万人?死亡

全世界で7500万~2億人?死亡(14C末)

 →危機の後に迎えた新しい時代とは?(ルター/ダ・ビンチ、モナリザ、ボッカチオetc

【展開その2】スペイン風邪

→なぜ、「スペイン」風邪なのか?

→スペイン風邪(1918年)は、世界史をどう変えた?

  →資料で分かることは?(右資料参照)

【まとめ】

→コロナ禍の現代は「希望の時代」?!

→高校生には「希望の時代」にする責務がある!

→「時代の漂流者ではなく、次代の創造者に!」

→そのためにも「科学的で実証的な」歴史認識を!

  →「学ぶとは知ることではなく、自分の中で何かが

 変わること」(ルソー)

<参加者の感想>

▼Google Formsに寄せられた参加者の感想(掲載可のみ)をご紹介します。

感想                         中妻雅彦(花園大学)

参加した高校に在籍の先生たちは、報告に関するご自分の実践や生徒の現在を少し話してくださいましたが、今生徒(子どもたち)jは、コロナの中での生活をどう感じているのかを考えてみたいなあと感じました。私も大学で30分間、話をしたのですが、最後の授業で感想をとれなかったので、なんとも言えませんが。

感想                    羽田純一(元長岡京市立小学校)

今回は参加者が少なかったのですが、その分、全員が意見交流できてよかったと思います。コロナの先が見通せない状況が続いていますが、その困難を逆手にとって、オンラインだから参加できるという人たちも増えていけばよいと願っています。コロナがあっても、学校教育は続き、教育実践も日々続いていきます。ぜひ、実践や教材の交流を続けていきましょう。全国大会にも、京都から大勢で参加しましょう。

コロナ禍と切り結ぶ!!             町田研一(立命館宇治中高)

 同じ職場の先輩教員である森口先生が授業をされていると、廊下中に響くほどの熱心な声が聞こえてきます。その内容は教科書通りに淡々と教えるのではなく、常に時代と切り結んで生徒に問いかける授業をされているようです。

今回の報告でも、まさにコロナ禍と歴史を結び付けたうえで、生徒に学んでほしいことを幅広く投げかけている様子がよく伝わってきました。普段やっている授業を時事問題と関連付けてブラッシュアップするのはたいへんな手間がかかりますが、森口先生はその手間を惜しまずに授業づくりをしている結果、生徒の反応は非常に良くなるようです。

  最近の歴史研究でも感染症と歴史の関連が盛んに取り上げられています。奈良の大仏やアメリカ大陸へのヨーロッパ人進出と天然痘、幕末日本でのコレラ流行などなど。これらの出来事を歴史と関連付けた授業がこれから全国で多く出てくることが予想されます。私はまだそのような授業をできていないので、森口先生の先駆的な実践に学びながら授業づくりをしていきたいと思いました。