緊急事態宣言が解除され、再び会場とオンラインのハイブリッド開催となりました。参加者は会場が10名、オンラインが3名でした。お忙しい中での参加、本当にありがとうございました!
今回の例会は久しぶりに報告を1本に絞って、参加者と報告者の意見交流の時間を多くとりました。
<報告概要>概要に代えて、例会で配信された勝村先生の大学講義プリントを以下に掲載します。
学べることが多く有意義でした。もう少し早く始められると、全員発言が可能と思いました。
勝村先生の報告を聞いて、学生が、高校までの歴史学習とつなげて考えることはできているのかを質問しましたが、同じような悩みを持っておられ、そのために、必要な知識を補うことがされていることを聞いて、安心していいのかはわかりませんが、ほっと(?)しました。高校までの歴史知識が、大学の専門と繋がることが大切なことだと思いますが、実際は、別個のものと考えていて、繋がりを持って考えられる学生は少数派です。きっと、小中、中高も同じではないかと思います。そこをどう埋めて補うのかが教員に問われるのかなあと思いました。授業をすると、課題はいつもありますね。
大学教育の実践は、自分が実践していることを考えるいい機会となりました。私は、歴史や社会科を内容とする授業科目がないので、残念だなあと感じました。
江戸後期の対外危機:アヘン戦争と日本から初め,戊辰戦争,台湾出兵,日清・日露戦争などを経て,満州事変,日中全面戦争,アジア太平洋戦争へと続き,今日に至っている近現代史をトータルに見ていく必要性を改めて感じました。特に1868年の明治維新から1945年のアジア太平洋戦争敗戦までの77年間は、まさに侵略戦争を重ねた歴史であり,その歩みを大局的にとらえ,当時の国民の意識について,加担・協力,さらに反戦・厭戦・抵抗の事実を踏まえ,その全体像をしっかり捉えていきたいと考えています。こうした流れの中で,日清戦争と台湾支配について,その後の日本の歩みと関連づけて深く捉え直していく上で,貴重な資料を提供していただいたと感謝しています。
勝村先生が今回報告された授業では映像が重要な位置を占めていましたので,その映像の一部でも視聴できるとなお良かったと思います。ただ勝村先生から報告資料だけではなく,実際に大学の授業で使われた多くの資料を提供していただけたのはありがたかったです。
報告をお聞きして、日清戦争や日露戦争で、欧米人のお雇い外国人が外交顧問となり方針を決めていったことを初めて知りました。考えてみれば珍しいことではないのかもしれませんが、このような顧問を通して、先行して植民地化を進めてきた欧米の帝国主義諸国に学び、対立を孕(はら)みながらも協調して、東アジアの植民地化を進めていったことに気づきました。また、芸術的な映画と言われなかった、大衆受けするような興行的映画を使って、そのなかで描かれている史実を掘り出して教材化していかれたのも面白かったです。それは、勝村先生の確かな研究に裏付けられたものだと思います。ためになる授業実践を提供していただいたお陰で、勉強させていただきました。ありがとうございました!
日本近代の戦争の歴史をどうリアリテイを以て教えるかという重要なテーマだと思います。貴重な実践のご報告からはたくさん学ばせていただきました。
報告について個々の部分では質問したいことがもっとたくさんありましたが、1時間半という時間的制約では難しかったですね。時間を長くすると例会参加者が参加しにくいという事もあるので、例会の時間としては適切かなと思います。
コロナ禍もあって、半年余りぶりの例会参加でした。普段まったくのんびりした生活をしているので、久しぶりに近現代史や授業づくりの話題にふれさせていただきました。勝村先生の「戦争と平和を軸とした日本政治史・外交史の授業実践」の報告後、ご指名により感想をまじえて二点の質問をさせていただきましたが、どういう趣旨で何をお聞きしたかったかを改めて書くとともに、コメントを追加したいと思います。
一つ目の質問は、ご報告の「日本政治史」の科目の教科書をなぜ北岡伸一さんの『日本政治史―外交と権力 増補版』とされたのか、でした。質問の趣旨は、報告者の授業のねらいにこの教科書が基本的に沿うものであったのか、あるいは逆に、反面教師的なことも含めて問題意識を促す意味があってのことか、後者の場合、どのように教科書を活用されたのかをお聞きしたいということでした。報告のなかで、著者の北岡さんを安倍元首相のブレーンの一人と紹介されていましたし、私は後者を想定してお聞きしました。
本の価格や在庫や年表の有無の問題はあるにしても、お聞きしている限り、この授業において教科書として積極的に活用できる、あるいはしたい内容がどうあるのかわかりませんでした(私はこの本を読んでおりませんので、内容の適、不適はわかっていません)。ただ、報告後のオンライン参加者とのやり取りの中で、受講学生の授業の前提となる歴史の基礎知識のなさについての話題、課題がありました。それを考えると、学生たちに持たせ、授業ごとに確認もできる教科書は、今回の科目の授業計画(レジメの3ページ)からいっても、日本近現代史を通史的にたどる数々の著作から選ばれてもよかったのではないか、と思いました。それを前提に、補足のプリントや映像を活用されたらいいのでは、と思いました。
二つ目の質問は、映像資料(映画やドラマ)の授業での活用のされ方でした。報告当日、レジメを拝見して、使われている映像が映画やドラマであると知り、驚き、おもしろいと思いました(私も現役のころ、長年世界史の授業などで映画を教材として活用してきましたので)。
レジメを見れば、どういう時代、事件にかかわって、どんな作品があるかはわかりますが、実際の授業で、何をどのように見せ、そのとき学生とどんなやり取りがあったか、授業のねらいは深められたかなどの具体的な紹介がなかったので、お聞きしました。実際に視聴された作品のシーンを少しでも見せていただき、それを見た学生の感想を紹介し、それに対して報告者はどうコメントされたか、といった紹介が授業の様子を浮き彫りにすると思います。
あと、特に劇映画には当然のことですが、虚実ないまぜ、誇張があります。そして視聴者は知的な刺激を受けます。そうしたことをふまえて、授業者が映画を教材として使う場合は、授業のねらいに応じて大胆に作品を選択しつつ、実証的・教育的に扱う(事後指導で虚実を示し、学生の感想を教材として新たな問題提起に活用する)べきだと思っています。映画以外の最近のテレビ番組では、「ザ・プロファイラー」、「英雄たちの選択」、「歴史探偵」(いずれもNHK)などがとっつきやすく、わかりやすい教材として使えるのではないでしょうか。