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9月例会の報告です

久しぶりの例会は、ZOOM というweb 会議システムを使用してオンライン開催となりました。テーマは「with コロナの社会科授業とは?」と題して、主にオンライン授業の実践報告と質疑応答を行いました。以下、報告の概要と質疑応答、感想をお伝えします。

左の写真は、実際の例会の様子(ぼかし処理済)です。参加者の背景画像も様々で、それだけでもおもしろかったです(笑)。

【報告の概要】

①報告者:稲垣浩史(大阪大谷大学教員)

勤務する大学でオンライン授業

⇒遠隔授業(ZOOM なども遠隔システムを使用して同時中継)or オンデマンド授業(録画した授業動画を学生が好きな時間に視聴)

ZOOMによる遠隔授業を選択するも、対面授業で実施していたグループ学習とノート課題に問題発生!

<問題>グループ学習:ブレイクアウト機能を用いるも、クラス全体への目配り不可能

ノート課題:とりまとめの手間がかかる。ex.フォーマットが学生によってバラバラ

他にも、ZOOM ならではの欠点や学習者の環境の差など問題多数!

また、遠隔授業ならではの困難も・・・。

<困難>出欠確認の手間、授業動画配信の手間、授業進度が遅くなる、課題共有の手間など

遠隔授業で得られたもの。それは、慢性腱鞘炎と視力低下。

②報告者:勝村誠(立命館大学教員)

日本政治史(受講生186 名!?)という授業をZOOMでライブ配信。

パワーポイント(以下、ppt)と授業支援システムで配布したレジュメを用いて授業。

<実施した感想>・進度が遅れがち。

・教材作成が大変で、とにかく忙しい。

・対面授業と比べて、学生に伝わる実感が得られない。学生が自分の画像を切ってしまうと尚更。

・定期試験が実施できないこともあって、学生のマイナス要因が見つからず、成績が通常よりも

良くなる傾向。

・すばらしい成果物との出会いもあった。

【質疑応答】

▼稲垣報告について

Q, PC 貸し出しはあったのか?

A, なかった。来年度入学生からPC 購入を促しているが、経済格差が心配。

Q, 学生にとって、対面授業とオンライン授業のどちらがいいのか?

A, はっきりと二極化している。人とのかかわりが好きな子にとってはしんどいのではないか。逆に、オンラインの方がやりやすい子もいる。これからは、学生の特性に合わせて使い分ける必要があるのではないか。

▼勝村報告について

Q, 授業1 コマ、何分だったのか?

A, 90 分だった。最初は、50 分講義で、40 分課題にしようと思っていたが、実際は80 分講義となってしまった。

▼全体について

Q, 授業進度はシラバス通りいけるのか?

A, 対面授業よりも進度は遅くなる。

以下、例会での意見交流の抜粋です。

・オンラインは遠方の人が参加できるのが利点だが、人数が多くなればなるほど議論を深めることが困難になる。

・スマホでオンライン授業に参加している学生へのフォローが大変。しかし、授業アンケートの評価は例年よりも高い。学校へ行かなくていいことが原因か?

・オンデマンド授業を実施したが、20 分程度の動画を作成するのに1 日かかってしまい、本当に大変だった。また、教員が一方的に話す講義型授業の見直しが進められているのに、動画で一方的に話していることに矛盾を感じた。さらに、オンライン授業がこのまま常態化することに危惧を覚える。

・オンラインは今後常態化するだろう。ならば、オンラインの利点についても、今後交流していきたい。

・パソコンを持ってない大学生がいるということが衝撃だった。

・オンライン授業は参加者の熱が伝わりづらいということが印象的。

・学習支援ソフトとオンラインを組み合わせれば可能性がもっと広がるだろう。

【感 想】

雑感  オンライン例会初体験

羽田純一(乙訓地区小学校元教員)

久しぶりの例会は、パソコンの画面と向き合うオンライン例会となりました。コロナ収束が見通せない中で、このような形での久々の例会でした。オンラインでの会議というのは、これまで経験してこなかった領域です。開始の少し前からパソコンの前に座って、何となく落ち着きませんでした。うまく参加ができて、ホッと一息ついたというのが実感でした。

稲垣さんと勝村さんから、大学でのオンライン授業の様子の報告がありました。授業を準備する労力が対面授業よりも大きいということは、よく分かりました。また、指摘されていたように、学生の経済的な負担も問題になってくると思います。今でも、子どもたちの貧困化が進み、経済的格差が子どもたちの学習環境を左右していると言われています。オンライン授業やIT を活用した教育活動で、使用する機器が個人負担になったり、性能に差が出れば、さらに現状に追い打ちをかけることになってしまうでしょう。

オンライン授業に対する学生の評価は2分されているという現状も、どう考えればよいのか。確かに、通学しなくてもよいことは楽だし、利点もいろいろあるでしょうが・・・。知識を得たり、考えたりといった「学力」は、一定保障できるとは思います。ただ、生身の人間同士のやりとりや触れ合いは大事な活動であり、そこから得られることも多くあります。友だちや仲間同士の横のつながり、連帯といったものも薄れていくでしょう。やはり、教育活動としては、大事なものが抜け落ちてしまう危険性をはらんでいると思います。機器を媒介としたつながりだけでは、「ヒト」が「人間」になることはできないのではないか・・・漠然とそんなことを考えていました。

とは言え、教育の分野でオンライン化は進んでいくでしょう。しかし、それは、人と人とが直接ふれあえる対面授業が中心であって、そこに、オンラインの利点を取り入れていくものになってほしいと願います。

例会も、オンラインで行うことで、会場まで足を運ぶのが困難な人も参加しやすくなるというメリットがあります。

一方で、技術的なことも含めて馴染めない、参加しにくいという人もいるでしょう。会場に集まっての例会とオンライン例会をうまく組み合わせていければ、例会に参加できる人も増えていくのではないでしょうか。