2020年11月例会

今月の参加は、会場5名オンライン3名

の合計8名でした。 今回から、クローバー

ハウスの部屋にもアルリル板の仕切り出来

ました。 参加者が少なかったのは残念です

が、会場には京都橘大学の学生が参加して

くれました。また、杉浦さんの報告は、初の

オンラインでの報告でした。会場に来ての

報告ではなく、オンラインでも報告が可能

であることが実証でき 、コロナ禍での例会

の持ち方、例会の広がりについて 、今後に

向けて 一 石を投じる事例 なったのではない

でしょうか。

<報告①>

きっかけはコロナ休校

~オンライン授業の今と未来~

報告者:杉浦真理さん(立命館宇治高校)

会場に 報告者の姿がないと思っていたら、何とオンラインでの報告―報告の仕方までテーマに沿ったものでした。先ずは、こんな例会報告も出来るのかと驚いたり、感心したりのスタートでした。

報告は、0.コロナ休校が学校に迫ったもの 1.オンライン教育の緊急性 2.オンライン教育の実際(授業に着目して) 3.オンライン教育の波及効果 4.オンライン教育とオフライン(対面)教育の融合―の内容で行われた。

コロナ休校の下、インフラが整えばオンライン授業に移行は出来るが、教師の技術的力量や生徒の家庭環境の整備などの課題も顕在化した。政府は、現場任せで必要な補助金を出さず、教育権の保障がなされていなかったと言える。

「全ての生徒の学習権を保障する」という考えから、使えるものは使うということでオンライン教育に取り組んで来られた 。オンライン教育の類型として 1リアルタイム双方向(オンライン中継型)2コンテンツ web 配信(オンデマンド型) 3課題提示遂行フィードバック型(ドリル型)の3つ が考えられる 。

オンラインの授業に遠く福岡から参加してもらえたことも報告 があった 。従来のように社会人講師として学校に話しに来てもらうのではないので、費用の面でも時間等の面で メリットがあり 、講師を依頼できる対象が大きく広がることになる。 ZOOM を使って小グループで話し合って報告する取り組みもされてい る。 また、類型2を活用 すれば、途中で分からなくなった時に巻き戻して視聴出来たり、自由な時間に学習が出来るなどの利点もある。

オンライン教育の波及効果として、不登校の生徒が、他の生徒の目を気にせず授業に参加できる、授業の進度についてこられなくても、ビデオで学ぶことで復習や自分に合わせた速さで学べる、インフラが整備されれば 3「子どもの貧困」対策としても役立つ等が報告された。

今後について、国に環境整備(国家的にインフラを整備)させることができれば、教育権の保障につながると考えられている。報告は、オンライン教育について、あくまでも子どもたちの教育権を保障するという観点で、その可能性が探られている。

<報告②>

工業の立地―この製品はどこでつくられるかー

報告者:後藤貴三恵さん(同志社高校)

高校地理B (3年選択4単位)での「工場の立地」についての実践。「立地論」に

ついては、これまでに都市の立地(1年)、農業の立地(前単元)で学習している。

◆工場の立地条件

工業生産が最も有利に行われる場所を選び、

その工業が成立する場所。

自然条件・・・気候、地形、水、原燃料の存在

社会的条件・・・労働力、資本、技術、 輸送力

市場

◆ウェーバーの「工業立地論」(1909 年)

工場立地の場所は、生産費(輸送費と労働費と地代)が最小になる場所である=輸送費の最小地点に工場が立地

◆工業立地の型

   原料指向型工業 =原料重量>製品重量

   市場指向型工業=製品重量大 破損 しやすい

   労働力指向型工業=安価で豊富な 労働力

   臨海指向型工業=輸入原料に依存

   臨空港指向型工業=軽薄短小で高付加価値

   電力指向型工業=大量の電力を消費する

   用水指向型工業 =水の量や質

   集積指向型工業 =関連企業が 近接し輸送費削減

 

11月例会感想

後藤 貴三恵

 11 月例会もクローバーハウスと zoom とのハイブリッドでおこなわれました。

立命館宇治高校での休校中の授業配信の様子は、立命館宇治高校で6月におこなわれた京都高等学校社会科研究会(高社研)の春季総会で実践報告を聞いていました。そのときには、配信の実況さながらに、杉浦先生と藤川先生の掛け合いもされながらで、どのように配信されていたかがリアルにわかりました。休校中の授業配信をどのようにおこなうかについては学校が方針を出し、その運用を教科が主体となって進めていくやり方をとった学校も多かったと思いますが、お二人 で掛け合いしながら授業をすすめていくというやり方で生徒を飽きさせないように工夫しているところもよいなぁと思いました。また、自宅で受講する生徒の負担が重くならないよう授業時間を少し短めにするなどの配慮も大切で、私の学校でも授業時間より少し短めのコンテンツを作成するよう心がけ、小さな課題を出し、調べ学習を取り入れました。 zoom にしろ、パワーポイントにしろ、これまでほとんど使ってこなかった世代の教員にとっても避けて通れなくなり、若い世代の教員に教えてもらいながら使うようになったというのが現状なのではないでしょう か。休校期間中は、授業コンテンツを作成し、配信のしかたを習得し、慌ただしく過ぎ去っていきました。6月から段階的に徐々に通常の授業形態に戻り、対面で授業ができることをあらためてありがたく思っています。

 私も 11 月例会で授業実践報告をさせていただきました。工業の立地論で、この分野は毎年 11 月にやっているので、今回も数日前におこなったばかりの最新の実践報告でした。いつもは授業はやりっぱなしで、感想を書かせたりすることをあまりやっていないのですが、書いてもらうと理解度や生徒の発想など、状況がよくわかります。クロー バーハウスに来られた参加者に、授業で使った表に記入してもらって体験してもらうつもりにしていましたが、その用紙を当日持って行くのを忘れてしまい…。生徒たちには原料指向型、市場指向型、労働力指向型のそれぞれの工業に該当する生産品をあげてもらいましたが、実はこれ、何が該当するかな?と私の頭の中でなかなか思い浮かばなかったものを生徒に考えてもらうというもので、生徒から教えてもらった形となっています。この2学期後半の学習内容についての期末テストでは、毎年、平均点が高くなり、暗記する部部分ももちろんありますが、理論を学習し、論理的に考える分野でもあるので、おもしろいと感じる分野となっているのかなと思います。